老人ホーム浴陽荘の老人たちの一人、植物学者の牧(原田芳雄)が山で黄金花を見つけ、その後彼が戦後の世界を夢見ます。ストーリーというものは特になく、殊に後半は観念的な世界を映像で物語るわけですが、はっきり言ってわけがわかりません。牧が見る戦後の不思議な世界も舞台演劇のような簡素さで、こちらも期待外れです。
有名な俳優としては他に長門裕之氏が脇役として出演していますが、作りのチープさは否めないですね。本作品は原田芳雄氏が2011年に亡くなる2年前の映画です。
今もご健在であれば84才、本作品では齢70にもなる同氏ですが、1980年代によく映画でお見かけしていた頃とはだいぶ年輪を重ねられました。華やかなりし頃から渋い美丈夫でしたが、年老いてなお一層渋みのある老翁となられ、深みと重みを感じさせます。
実は俺は少し昔まで原田芳雄氏と室田日出男氏の名前と顔が一致していませんでした。原田芳雄氏を室田日出男氏と思っていたわけです。併しながら実の室田日出男氏は面長の豪放磊落な感じの男です。眉目秀麗で繊細な原田芳雄氏とはちょっと異なります。
まあ、包括して本作品は原田芳雄氏の遺作と言ってもいいでしょう。正直なところ、餘りおもしろくはないですが同氏のファンなら観るべきです。俺はDVDを買いました。総時間も75分と、短めなのは良いと思います。

往年の銀幕スターの無駄遣い映画
美術にこだわり過ぎて
観客置き去り映画

老人達が求めるユートピアとは何？

老人ホームで暮らす植物学者の８０歳の男が山の小さな泉の畔で“黄金花”と呼ばれる幻の花を見つける。この花は時空を超えた旅をする事が出来る伝説の花で永年追い続けていた物だった・・・。
老人ホームに住む身寄りのない人間がそんな夢を追いかける事に新鮮さ感じてしまう。
８０歳を迎える人間にも夢を追求して行く生き方を自分自身迎える事が出来得るのか？
とてもそんな元気を保つ事が出来ますでしょうか。今から心の若さを保つ努力をしておきましょうか・・・。
でも作品としては展開に少し乗り切れない印象でした。